現実の君は無罪だ

三人称日記に慣れてきたら次は裏日記をおすすめする。裏日記に書かれていることは全て本当ではないのだけど、まるで本当にように描かないといけない。嘘をつくこつは真実をベースにして2割,3割の嘘を混ぜることだ。たとえば君が朝、出勤するときに犬と通り過ぎたとする。犬と通り過ぎたときに吠えられていないに「今日は朝から犬に吠えられて少し憂鬱だった」と書けば裏日記として成り立つ。感情だけを本当にして事実だけを嘘にしても良い。本当は君は会社に行くことが嫌で憂鬱だった。しかし、その感情の起因を「犬に吠えられた」という存在しない事実で結ぶことによって、感情さえも存在しないようにすることができる。裏日記のメリットは、いつかその裏日記が本当になるということ。日記の中に裏日記を織り交ぜるだけで未来のあなたが本当にあったと誤解をすること。そして事実はブラウン管テレビに映る砂嵐のように遠いところへ過ぎ去っていく。また裏日記を書くことによって今日という日が沢山ある可能性のうちの一つをなぞっただけだということに気づくだろう。君の裏日記の精度が上がれば上がるほど現実で起こった出来事も可能性の範疇になる。君が善人なら裏日記を少しずつ良い方へ曲げていけばいいし、君が悪人なら裏日記を少しずつ悪い方へ曲げていけばいい。君が裏日記上でどんな悪いことをしようが現実の君は無罪だ。