ベンチでもソファーでも椅子でもない

家の近くの空き地でジグソーパズルが3ピースほど地面に突き刺さっていて、どれも赤い模様がプリントされていたから、その地面の上で誰か殺されたんじゃないか、と思ったんだ。
でも実際は誰も殺されていなくて3人いた。3人というのは僕とタケルとジョジョンミのことで、そのとき吉井はまだ友達ではなかったからその場にいなかった。
どうしてジグソーパズルが地面に突き刺さっていたのかはわからなかった。ジグソーパズルは3ピースしかなかったから完成したらどんな絵になるのかもわからなかった。
タケルが思い出したように「あ、これ俺のジグソーパズルだわ」と言った。
その隣にいたジョジョンミは第二形態を飛び越えて第三形態へと進化している最中だった。ジョジョンミの背中からは羽が生えて、両手が嵐で折り曲げられた木々のようにうねりはじめていた。ジョジョンミの生命の鼓動を聴きながら、タケルの表情が青ざめていくのを僕は見ていた。


「もしも恐竜が町へやってきたら町が破壊されないようにしようよ。そしたら偉い人からも表彰されるかもしれないし、恐竜からもサインが貰えるかもしれない。」
そうなんだ。へー。


言葉にできない感情をエモいっていうなら、エモいっていうたび君は感情を殺すんだね。
そのときに感じた自分だけの感情をジャンクフードみたいな言葉でレッテル貼って終わりにするんだね。
そういうところ好きだよ。余計なこと考えなくて良いなんてエコじゃん。