この記事は、
映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章を見たが
よくわからなかったという人と、
もう一度見ようと思っている人に向けて
さらに楽しんでもらえるように書きます。
そのため、
映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章
のネタバレを含みます。
ただ、今後の展開に対しての原作のネタバレは含みません。
原作ネタバレ無しで、後半パート「小学生時代」を解説
①映画後半の小学生シーンを読みとく最初の鍵
まず映画が始まって、少しすると、
凰蘭と門出の下校のシーンになり、
踏切で電車を待つ二人の姿が映し出されます。
そこに
映画の後半で出てくる小学生時代の
門出の笑顔が一瞬挿入されています。
もう少し細かく説明すると、
①電車を笑顔で見る門出
②それを無言で見る凰蘭
③笑顔のカット
の順番です。
おそらく初見だと見過ごしてしまうか、
気づいても後半パートを見ないと、良くわからないシーンだと思います。
そして何事もなかったかのように踏切を超えて、
再び二人は話し合うのですが、
凰蘭が「人類にとって本当の脅威は僕ということをわからす」というような発言をします。
ここは後章のネタバレになりそうなので言わないのですが、
原作を読んでいる方だと、その意味がかなり上手く繋がっています。
映画に合わせてうまく再構築されたシーンだと思います。
ここで、重要なポイントが2つあります。
1つは、「踏切で電車を待っているときに思い出す」ことです。
映画では、電車の脱線事故を門出が起こしたことで、
悪い方法にどんどん進んでいくのですが、
その脱線事故のきっかけは、
「炎天下の中、妊婦さんが踏切で電車が通るのを待っていた」ことです。
そして凰蘭は、電車の脱線事故を
門出が起こしたことを知っていたので、
この踏切のシーンで、「小学生時代の門出の笑顔のシーン」が入るのは
入れ方としてはかなり自然だと思います。
また、この踏切で電車を待つシーンは原作にはありません。
映画をわかりやすくするために、かなり意図的に入れているシーンだと思います。
もう1つは「後編の小学生パートが妄想や作り話ではなく、
回想シーンということを伝えている」ということです。
実は前半の回想のシーンはこの踏切のシーンだけでありません。
そこから家に帰った門出のシーンになって、
再度、回想シーンがあります。
それは子供のときに門出がイソベやんリュックをもらうシーンです。
そしてこの2つの回想シーンなのですが、
どちらも画面サイズが昔のブラウン管のように
横に短くなっています。
つまり子供時代の回想シーンが入るときは
「画面サイズが変わります」というのを、
分かりやすいように提示してくれているのだと思います。
②「門出を助ける凰蘭」と「門出を助けられない凰蘭」
門出にとって凰蘭が「絶対」になるのは、
いじめられていたときに助けてくれたことですが、
後半の小学生シーンでは、凰蘭は門出を助けることが出来ません。
しかも現代では総理大臣になっている政治家が回想の中で死んだり、
普通に侵略者と話していたり、
後半の過去パートと、前半の現代パートが食い違うため、
「え?結局なんだったの?妄想?作り話?どっちが本当なの?」
となるのですが、実際は先ほど説明したように
凰蘭の回想シーンです。
そしてその矛盾を解き明かすためのヒントが、
大葉のセリフになります。
③「君こそどこから来たの?」「シフターなんだね」
学校の屋上で演説する凰蘭のもとへ、
大葉が現れます。
「君こそどこから来たの?」というセリフの後に
小学生パート(回想シーン)
が始まります。
そして、回想シーンが終わると大葉は消えており、
空を飛びながら、
「シフターなんだね(うろおぼえ)」
と言って去っていきます。
shiftには「もう片方へ移行する」という意味があります。
つまり、
どこから来たの?
↓
回想シーン
↓
もう一つの世界から来たのか
と、凰蘭がもう一つの世界から来たことを暗示しています。
凰蘭がもう一つの世界から来たからこそ、
現実ではありない回想シーンが成立しているということになります。
原作では大葉は「あぶね」としか言っておらず、
「シフター」とは言っていません。
映画に合わせて分かりやすいように改変しているようです。
(それでもかなりわかりにくいですが・・・)
④まとめ
まとめると、
①映画の後半シーンは紛れもなく回想シーン。
②そして凰蘭はどこか別の世界から来た可能性が高い。
③どうして凰蘭がこの世界に来たのか、どうやって来たのかは不明。
ということになります。
初見かつ原作未読だと多分分からないと思うのですが、
原作未読でも、2回見たらここまで辿り着けるように、
ある程度親切には物語を作っていると思います。
映画を読み解く小ネタ&解説
①未公開シーン(3年前)
YouTubeに上がっているのですが、
ばっさりカットされているシーンがあります。
それは8.31が起こるまさにその日の
中学3年生のときの
門出と凰蘭のやり取りです。
映画のかなり序盤になります。
下校後、門出の自宅で、
門出がイソベやんリュックを抱きしめる
↓
未公開シーン
↓
ゲームシーン
↓
門出のお父さんが現れて「戦争が始まる」と言う
映画ではリュックからゲームシーンに繋がっています。
個人的にも映画の構成的にこのシーンはない方が良いと思いました。
現代の門出と凰蘭のやり取り
小学生時代の門出と凰蘭のやり取り
ここが上手く対比されているので、
中学生時代の二人のやり取りはない方が良いかなと。
②小学時代の凰蘭が、門出の嘘に気づけた理由
門出には嘘をつくときに、
眼鏡の真ん中をくいっと押すシーンがあるのですが、
凰蘭はその癖を知っていて、門出の嘘を見破り、
銀しゃまの事故を引き起こしたのが、門出だと知ります。
この眼鏡の癖は、イソベやん(侵略者)を救うシーンで
嘘をついたときに門出がしているので、
そのときに凰蘭が知った可能性が高いです。
イソベやんを救うときのデマカセの嘘に
凰蘭は気づかなくて、
門出の後ろめたい嘘には
気づくのがかなり好きです。
また、映画では、女子集団に脱線事故を問い詰められたときも
眼鏡の真ん中をくいっとしています。
③イソベやんの興奮剤を門出も飲んでいた。
公園で門出が凰蘭を助けるシーンで
イソベやんから貰った興奮剤を飲んでいたことが原作では分かるのですが、
映画では明示されていません。
しかし、ほぼ確実に興奮剤を飲んでいると思います。
理由は、門出が運動神経が良くないことが
映画の中で明示されているからです。
映画の前半パートで、凰蘭、門出、ひろしの3人でジョギングをするのですが、
太っているひろしよりも門出は足が遅く、かつ足をくじいてしまいます。
そこで「ひろしが子どものときも同じことがあった」というような
発言をするのですが、ここで分かるのは
門出が昔から運動が得意ではないことです。
しかし公園のシーンでは、門出が凰蘭を助けるために
小学生の男の子相手にキックしたり、殴ったり、
アクロバティックな動きをしています。
活動系の神経を興奮させる薬は、運動神経もかなり良くする効果があるのだと思います。
④栗原キホ死亡翌日の凰蘭が空元気だったことが分かるシーン
栗原キホが死んだというニュースが流れた日、
凰蘭は遅刻をします。
屋上に、門出、亜衣、凛がいて、
いきなりドアが大きな音で開いて、凰蘭が元気よく登場します。
このドアが大きな音で開く前なのですが、かなり静かです。
ほぼ音はしません。
シーン的には階段を駆け上がって
一気にドアを開けるのが自然なのですが、
何か駆け上がる音もなく、凰蘭が登場する予兆もなく
2秒ほどの静寂の後に、いきなり大きな音がしてドアが開かれます。
若干原作のネタバレになるので詳しくは書けないのですが、
ドアを開ける前から凰蘭が元気だったわけではなく、
みんなの前で無理やり明るく振る舞っているのが分かります。
⑤渡良瀬先生の彼女の正体が分かるシーン
先生はアパートの前で電話をして
栗原キホが死んだ知らせを受け取ります。
アパートに戻ると、「歩人」開発センターのシ
須丸光がベッドにいてニュースを見ているシーンが映し出します。
原作だともっとはっきり描かれていますが、一瞬ながら、
映画でも2人が恋人関係であることを明示しています。
⑥ひろし宛に届く荷物の宛先
ひろしに届く段ボールの宛先が「ぷに子」になっています。
※原作ではぷに子の名前でSNSをやっている
映画を見ていて気になるところ
①「みんなが主人公」という謎の張り紙
後半の小学生パート
門出がいじめられていて
スクール水着が、教室の壁に貼られています。
そのすぐ後に、暗く沈んでいる門出が
映し出されるのですが、その壁に張り紙で
「みんなが主人公」という大きな文字が書かれています。
これは原作読み返しても見つけられなかったので、
おそらく意図的に追加されたものだと思うのですが、
あまりその意味が掴めなかったです。
②現代パートの前島さん大活躍
小学生パート
門出をいじめたり、凰蘭に罰ゲームで告白させようとした
前島さんは現代パートでも出てきます。
死んだキホのために手紙を書こうと言い出したり、
卒業式でみんな前で話したり、
クラスの集合写真を取ったり、大活躍です。
原作では全員前島さんではないので、
後章で前島さんの出番が来る可能性があるなと思います。