昔見た映画
家政婦が家の主人の死体を見て、
警察と協力しながら犯人をつきとめるのだけど
最終的に全ては家政婦の妄想で
その家に家政婦すらいなくて
その女はストーカーで
画面の向こうの観客を見つめて終わる映画
テレビで再放送されず
DVDもなっておらず
監督も俳優もタイトルも
グーグルでまったくひっかからず
唯一、アメーバブログの
ありふれた主婦のブログで
三行だけ取り上げられているのみで
誰の記憶にもないけれど
あの家政婦のこっちを見る目が
忘れられない、黒目が微動だにせず
視線が僕を貫いている。
世の中には生き方というのがあるらしくて不思議だね。
山なら登る登らないという選択しが、絵なら描く描かないという選択しが
それぞれあるからメソッドにたよるのはわかるけど
生きることは決定されていて選べないのに。