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こがら

十二月もよそゆきの着物にはじめて身をつつんだとき、余った帯がのびていった畳に浸食していく夕陽の影も、こんぺいとうを口にふくんだ押入れの暗さにはかなわない。曲がった棒を魔法の杖だと言い張る少年から、空き地に隠されている秘密の在り処を教えてもらって、戦争の授業の合間にずっと考えていた。
牛乳の匂いのする廊下を歩いた。紙飛行機が窓からの光をひきずって失速していく。通学路には時計がないから追い越していく表札の数がぼくの時間だった。